
午前3時のスノードロップ
ここはとある雪山。 春は近く、さりとて雪解けにはまだ遠いある日のこと。 集客のピークを過ぎたスキー場から、少しだけ山を下った辺りに、 麓(ふもと)へ向かう道からはずれた、細い分かれ道がありました。 空が見えないほど木々に囲まれた、その細道をしばらく行くと、 この山に唯一ある、古い無人の山小屋が立っていました。 「やっと着いた……聞いてたより、スキー場から距離があるなぁ…」 ある女性が、そんな事を呟きながら山小屋の扉を開けると、 そこには1人の男性が驚いた顔で立っていました。 「……まさかこんな所に来る人が居るとは……」 見知らぬ2人はお互い顔を見合わせるばかり。 すると、先程女性が歩いてきた道のりを、同じようにこちらに向かってくる人影が。 「…あぁ良かった、人がいて。 とりあえず中で休ませてください、よければご一緒に」 その言葉で、何とはなしに3人は小屋の中へと入ります。 ―――――この晩、運命を共にするとも知らずに。