草花の楽園
2006年の日本。東京都にある私立英華高校は、都内屈指の進学校である。1年次に度々行われる個別面談により、生徒の持つ個性が見出され、2年次から各々の個性に合ったクラスに割り振られる。それぞれのクラスには、通常授業とは別にそのクラスの特色に合った特別授業が行われ、生徒の持つ才能をより伸ばそうと尽力がされている。 キミたちが割り振られたのは、クラス番号の最後である2年16組。クラスの特色は『文武両道』である。特徴的なクラスの割り振り方のせいもあり、クラスごとの生徒数はバラバラで、学年全体の生徒数300名に対し、キミたちのクラスの生徒数はたったの12名である。 キミたちのいる英華高校では、毎年8月初週の4日間、長野県の山中にある民宿にて、勉強合宿なるものが行われる。1、2年生は全生徒参加が義務付けられており、クラスごとに男女別の部屋や教室が割り当てられる。3食完備、男女別の浴場、各部屋備え付けのシャワールームと、宿泊施設としては申し分なく、宿の裏手には山からの風景を楽しめる見晴らし台も用意されている。合宿には細かいスケジュールがあり、総学習時間は27時間となっている。 そして、合宿1日目を終え、2日目に入る深夜帯。キミたちに、クラスメイトである”白月凛々”の訃報が伝わった。教師陣が騒ぎを抑えるべく奔走しているのを尻目に、キミたちは密かに集まっていた。